スネークヘッド の飼育

グリーンフェイススネークヘッド ドワーフスネークヘッド

スネークヘッドとはアジアとアフリカに生息する肉食魚で、現地では大型になるものは食用として用いられています。
この仲間には日本でもその一部の種が帰化している、いわゆる雷魚(カムルチー、タイワンドジョウ)がよく知られるところでありますが
30種ほどになるスネークヘッドの中では20cmに満たない小型種、雷魚からは想像もつかない美しい色彩をもった種類までいます。
魚らしからぬ(?)体型と、口から直接空気呼吸をする様子、飼育者に懐いて首を振って餌をねだる仕草と、いざ獲物を追うときの野性味ある一面など、魅力たっぷりです。

ただ認知度は未だ低いようで、熱帯魚カタログなんかを見ても
たまに古代魚のページや汽水魚のページに入れられている事も…。

ここでは小型スネークヘッドの私なりの飼育について分かる範囲でお話しようと思います。

まず、小型スネークヘッドの種類について簡単にご説明いたします。
記載したサイズについては最大でという程度で水槽飼育下では一般的にこの80%程度までしか大きくなりません。
幼魚期から大型の水槽で栄養豊富に育てればその限りではないと思いますが。

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ドワーフスネークヘッド 【channa gachua】20cm 腹鰭有り アジアの広い地域
背鰭条数32-37 尻鰭条数21-23 模式標本はインド産
スネークヘッド随一の分布域の広さを持ち、そのために地域変異、亜種?が多く、魅力の一つとなっている。
学名そのままで『ガクア』、『ガチュア』と呼ばれる事も多い。
気が荒く混泳させると喧嘩が激しい。(この種に限らずでしょうが)成熟した雄は雌よりも色濃く綺麗に発色します。
マウスブルーダー。

地域変異について…、個体差、雌雄差もあり、以下は不確かな私見ですが、

  ▽インド産

背びれに殆どオレンジのエッジが乗らず、
背鰭後方の数条にのみ薄っすらオレンジが確認できる程度。
一見地味な印象持たれがちですが青みの綺麗な種類です。
ひとくちにインド産といっても広いインドですから
そのなかでも数タイプ存在するようです。

⇒インド産ドワーフスネークヘッドの繁殖記
を愛好家のコウセイさんに御提供頂きました。有難うございました。

  ▽ブータン産 
  ショップで売られているのを見ると地味な印象をもちますが、
  水槽に慣れてくると赤味の美しい種になるそうです。

下記の地域変異は入荷が稀です。

  ▽タイ産

背びれの青とオレンジが色濃くはっきりしている美種だと思います。
写真はNostraさんに御提供頂きました。有難うございました。

  ▽スリランカ産

幼魚期の体色がレインボーのような美しさがあり、
成魚になると鰭の青とオレンジエッジの色が濃く非常に美しい種類だと思います。
尻鰭には殆どオレンジエッジは乗らず(尾鰭付近2条ほど)、白いエッジがあります。赤味が強い。

マレーシア産

オレンジのエッジも美しいですが各鰭がメタリックブルーに染まりまた鰭のオレンジエッジぎりぎりまでが青く色づきます。
オレンジエッジは背鰭、尻鰭、尾鰭全てを縁取ります。

  ▽インドネシア産
  過去に1〜2度入荷があったようですが、その写真では扁平な頭とスマートな体が特徴的でしたが、
  飼育された方曰くに成長と共に体型の特徴が見られなくなったとか…。こちらも美種。

レインボースネークヘッド
【channa bleheri】20cm 腹鰭無し インド、アッサム地方。
色彩の美しさから人気の種で入荷も多い。
スネークヘッドにハマる足がかりになる事が多いのではないでしょうか。泡巣タイプ?

写真は陽神さんから御提供頂きました。有難うございました。
現在15cmほどで、成長が緩やかになってきたそうです。写真クリックで拡大出来ます。

ニューレインボースネークヘッド【channa sp.】20cm 腹鰭無し インド
レインボーと並んでその美しさから人気があります。体色の斑模様も美しいが体高程も有る背鰭の長さは優雅です。
背鰭は真っ青でオレンジエッジに縁取られます。マウスブルーダータイプ。

ウマンギィスネークヘッド 【channa sp.】30cm 腹鰭有り インド
白黒灰色のモノクロカラーの渋いスネークヘッドです。比較的入荷が多くサイズも幼魚から成魚まで見かけます。
ブロードバンドスネークヘッド、ファイブバンドスネークヘッドの名でも知られます。

インディアンスネークヘッド【channa punctata】25cm 腹鰭有り ミャンマー、インド、パキスタンなど

コウタイ

【channa asiatica】30cm 腹鰭無し 台湾、中国、タイ
背鰭条数42-46 尻鰭条数25-29 模式標本は中国産
細かく白いスポットがたくさん入る派手な個体から、
無斑の個体(別種【channa nox】の可能性も)まであるようです。
気が強くスネークヘッドのなかでもタフと言われることの多い種です。

スチュワートスネークヘッド【channa stewartii】30cm 腹鰭有り インド産
ドワーフを一回り大きくしたような外見ですが、体には細かいスポットが入ります(平野タイプ?)。
スポットの少ない個体は山岳タイプなんだとか…。

ブルームーンギャラクシースネークヘッド
【channa sp.】30cm? インド産
すごいネーミングですが、きっと美しさを伝えたくて修飾しすぎたのでしょうね。(笑)
スチュワートに似ていますが、若魚のうちから顔も体も青白く色づき、かなりの美種です。
ポツポツ入荷が見られこの頃では価格もすこしずつ下がってきましたね。
中には『これはスチュワートじゃないの?』というような個体も??…。

バンカスネークヘッド【channa bankanensis】30cm 腹鰭有り バンカ島など

以下は特に入手が困難な種類。

グリーンスネークヘッド【channa orientalis】20cm 腹鰭無し スリランカに生息。
オリエンタリススネークヘッドとも呼ばれる、古くから知られたスネークヘッド。
ドワーフと良く似るがこちらは常に腹鰭を欠くので見分けは容易。
鰭のオレンジエッジが厚い?マウスブルーダー。入荷は稀。

ハーコートスネークヘッド【channa harcourtbutleri】20cm? 腹鰭有り ミャンマーのインレ湖に生息。
ドワーフに酷似する。入荷は稀。

グリーンフェイススネークヘッド
【channa sp.】15cm? インド産 
背鰭条数31 尻鰭条数17-18(私の飼育個体)
オレンジフィンスネークヘッドとも呼ばれ、紛らわしいが同名でドワーフも売られていたりする。
ドワーフに似ていてシノニム(同物異名)の可能性もありますが、
背鰭、尻鰭ともに条数がドワーフのそれを下回り、ドワーフよりも小型の異種ではないかと思います。記載種なのかも不明。 ドワーフと比較すると頭が扁平で胸鰭が大きく、鰭はグレーで分厚いオレンジエッジを持つ。入荷は稀。

Nostra氏 御提供写真

Nostraさんより御提供いただきました写真です。
アンフィベウス スネークヘッドやタイ産ドワーフスネークヘッドなどレア個体ばかり。

※当サイトでは私の飼育種の少なさから、各種スネークヘッドの写真が不足しております。
また当サイトと同種スネークヘッドであっても構いません。スネークヘッドの個体差を知る為に御協力を頂ければ幸いです。
『写真を使わせてやるぞ』、という太っ腹な方がおられましたらご連絡をお待ちしております。(^_^;)

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ざっと紹介しただけでも結構種類がありますが
他にもイラワジ、ビルマ、その他のシノニムや不明種なども含めると
その深さに探究心がくすぐられてしまいます。

飼育の方法についての正解、不正解というのは、その線引きが難しいところですが、
概ねその個体が健康に育っていることがその答えになるかなと思いつつ、紹介させていただきます。

LINK先のサイトでも総合的、または種別で、詳しい飼育例が公開されています。ご参考ください。
また、アクア誌でも詳しく紹介されていますのでそちらも是非ご覧頂きたいと思います。
ちなみにアクアライフ誌とフィッシュマガジン誌のスネークヘッド関連記事、その他書籍はこちらです。
サムネイルをクリックすると表紙が少し大きくなります。バックナンバーを探す際に御役立て下さい。
アクアライフ 94年1月号スネークヘッド特集。
博物学的視点からのスネークヘッドのプロフィール紹介、
また飼育解説と試食の報告がされています。
アクアライフ 97年2月号レインボースネークヘッドの小特集。飼育解説がされています。
アクアライフ 97年7月号ドワーフスネークヘッドの繁殖記事と
タイ産ドワーフを探す現地レポート。オススメです。
アクアライフ 97年11月号 オセレイトスネークヘッドの一種類徹底飼育講座。
アクアライフ 98年2月号 小型スネークヘッドの特集。
写真カタログと飼育解説、未見参スネークヘッド。
アクアライフ 98年3月号 大型スネークヘッドの特集。
写真カタログと飼育解説、スネークヘッドの試食レポート。
アクアライフ 99年5月号 スネークヘッド特集。背鰭、尻鰭の条数や側線鱗数など細かなデータや
上鰓器官についてなど、ややマニア向けの記事。レインボーの繁殖情報。
アクアライフ 99年12月号ブータン産ドワーフスネークヘッドの繁殖に成功された
スネークヘッド愛好家宅の訪問記事。
アクアライフ 00年4月号愛好家宅でのニューレインボースネークヘッドの繁殖記事と
グリーンスネークヘッドの産卵行動記事。
アクアライフ 00年5月号前月号の続き。グリーンスネークヘッドの繁殖記事。
アクアライフ 02年10月号ブリーディング特集の中で97年7月号のドワーフ繁殖のダイジェストが
記事になっています。表紙はグリーンスネークヘッド。
アクアライフ 03年9月号レインボースネークヘッドとニューレインボースネークヘッドの
飼育解説記事と両者の比較写真。
アクアライフ 05年11月号レインボースネークヘッドの生息地特集。
生息環境を知って繁殖の鍵が見つかるかも…?
アクアライフ 06年11月号スネークヘッドの巻頭特集。
カラー34p、モノクロ14pの大特集号です。
日本に入荷した殆どの種類をカタログにし、飼育方法は勿論、未入荷のスネークヘッドなど最新の情報まで得られます。
また、スマトラへの現地レポートも有り。
ウェブリングに参加されている愛好家の方々もご協力されています。(^_^)
フィッシュマガジン 00年6月号 スネークヘッド特集。
AL94年1月号でも解説された池田氏によるchanna、ophicephalus等の
スネークヘッド分類学の歴史。
外来種としてのスネークヘッドについて。
フィッシュマガジン 07年7月号 スネークヘッド巻頭特集。
オールカラーの26pには種別カタログから飼育法、上鰓器官の詳細までが記述されています。
また、ウェブリングからtrampさんも御協力されています。
aqualog all Labyrinths(洋書) 9割程が写真で構成されているので飼育情報にはなりませんが
ドワーフの地域変異などの写真が見られました
   etc・・・と思います。他にもいい記事があったら教えてください。

スネークヘッドが初めて飼った観賞魚だ、という方は恐らく少ないと思いますが
もし、飼育自体が初めてだ、という方はこちらの熱帯魚飼育の基礎をご覧下さい。
既に魚の飼育をなさっている方、濾過について必要程度理解されている方であれば、 
あとは飛び出しにだけ注意すればスネークヘッドの飼育はできますので、細かい点は以下に。

〜基本編〜(アンケート実施中です)

▽ 個体選び

▽ 水槽・照明・レイアウト・水温

▽ フィルター・水流

▽ エアレーション

▽ 水質・底床とその種類

▽ 事故死を防ぐ

▽ 餌の種類と餌付け、拒食

▽ 体調不良・怪我

▽ 繁殖

〜番外編〜

▽ スネークヘッドの空気呼吸について(引用)

▽ スネークヘッドを見上げると

〜我が家のスネークヘッド〜

▽ ドワーフスネークへッド(インド産)

▽ ドワーフスネークへッド(スリランカ産)繁殖への道

▽ ドワーフスネークへッド(マレーシア産)繁殖への道

▽ ブルームーンギャラクシースネークヘッド 繁殖への道

▽ バーミーズタイガースネークヘッド 繁殖への道

▽ コウタイ

▽ グリーンフェイススネークヘッド