マレーシア産ドワーフスネークヘッド
繁殖への道
(vol.8 不調からの回復、繁殖 編)
【channa gachua “malaysia”breeding】

 

さて、前回の更新から数ヶ月あいてしまいまして、10月も終わりに差し掛かかっておりますが…。
前回の更新後の様子をお伝えしていきます。あまりに久々すぎてどこから話せばよいのか
…な具合ですが。(^_^;)

喧嘩の激しさに手を焼いて、水槽内をセパレーターで仕切ってお見合いを致しました。
元鞘に収まるのか、はたまた新カップル誕生か?
ところが、セパレータを隙間無く設置しても、オス(大)が飛び越えてしまいます。
そしてそれから逃げるようにメス(大)も他方へ飛び越えて、勝手に席替え開始です。(爆)
だもんで、水位を下げて重石も使ってセパレータ自体を強化しました。
翌朝、水槽を覗くと、なんとオス(大)がまたメス(大)の枠の中に…。
メスの枠は突破しづらいようにコーナーを仕切ったすごく狭いスペースです。
「もしかしたらトドメをさされたかも…」と青くなって狭いスペース内を観察すると、 なんと、両者ともへっちゃら顔です。
狭すぎるスペースが幸いしたのか復縁致しました…。よかった〜。
ということでセパレータを取り外し、ペアのみでの飼育を再開です。

しかし、喧嘩はなくなったものの、その後両匹とも体調を崩し状態が上がりません。
しかも喧嘩の噛み跡から疾病を併発したようで顔の周りに皮膚の疾患が…。
暫くは換水で様子を見ていたのですが、終いにはまたも鰭を閉じて“棒”状態になってしまいました。
鰓にもダメージがあるらしく、餌もよくこぼすように。

この状態は油断の出来ない状態ですので、考えた挙句、薬浴を開始。
普通なら薬浴用の水槽を用意するところですが、
鰭の裂けていることも考えて水槽全体をカラムナリス用薬剤で殺菌する事にしました。
ベアタンクでしたので、水草だけ取り除いて鰓の負担を減らすべく餌も絶ちました。
4〜5日ほどで閉じていた鰭を開くようになってくれましたが、
念のため、2/3の水を換水してから再薬浴をしました。
2週間ほど薬浴させていたら大分状態がよくなってきたので日々の換水で徐々に薬を抜いていきました。
バクテリアにも相当のダメージがあるはずですので、餌も程々に、1/5換水を毎日繰り返しました。

初心に立ち返って底床も戻し、
鰓の負担を考えて酸素量を増やします。
昼間は水草に頼るべく量を増やし、
(クリプト(ポットごと植え込みました)マツモなど)
夜間のエアレーションをタイマー設定しました。

そうこうしている内に餌食いもしっかり回復し
元気になってきました。
こうなると私の繁殖熱が高まってきます。
元気であればあとは栄養をつけてやるだけ…と。

ところがオスはよく食べるもののメスは後遺症でも有るのか、
あまり沢山食べようとしません。
心配は心配なのですが、体調が悪いというほどでもないので…。
普段の基礎代謝に使われる以外のエネルギーがないと
抱卵もしなそうだし…。腹一杯食べてくれないとなぁ、
と思って水温を上げて代謝を上げようと試みるも変化無く、
これじゃ代謝が上がるのみかと、ならば今度は22℃にして
代謝を下げて太りやすくならないかと試してみました。
食べる量はやはり大して変わらないので、
これで少しは余りが出来ているのかな。

この状態で一ヶ月ほど飼育。この間、
オスはアピールをするも
メスには一向にその様子も無く完全無視です。

そしてようやく、産卵に至りました。1年ぶりか?
10月の下旬、やたらと寒い日がありまして(11月下旬なみとか)
そこがもしかしたらきっかけになったのかは分かりませんが
過去の全ての産卵と同じく私が観察できないことが続いた日でした。

孵化までいたる可能性は低そうな気もしますが
長期の体調悪のことを思い返すと産卵まで至ってくれただけでも嬉しいです。
低そうと言ったのは体調のこともそうですが、オスが余裕なんですよ。(笑)
普通卵を咥えていると水槽の隅でひっそりと卵へ酸素を送りつづけるのですが、
平気で泳いでいたりして、産卵後食欲アップしたメスにエサを与えていると、
食べられもしないくせに近くに寄ってきます。
水槽右奥の砂利を掘って巣として卵を守ってはいるのですがね…。

繁殖慣れした?アダルト個体の余裕なのか、メスの不調で卵が少ないためなのか、
もうちっと安静にしていて欲しいもんです。

産卵から3日ほど経過、ようやくオスの行動が大人しくなってきました。少し安心。
両魚の体調を心配していましたが、前述の対策が功を奏したのか鰭を閉じる事も無く、
メスのエサ食いも抜群、肝心のオスも鰭の裂けがなくなりました。
油断は出来ないものの、病気の影が今のところは薄らいでいるように感じられます。
このまま行ってくれれば、久々に繁殖か?と期待。
ちなみに、溶存酸素を少しでも多くしようと水温は低め23〜4℃にしました。
孵化までの時間は少し長くなると思われますが…。
それから毎朝、水槽をカビた卵がないか恐る恐る確認。(^_^;)

そして6日目、 巣でオスに守られた稚魚を確認!!!
元気にピョンピョン跳ねています。
数は、きちんと確認出来ていませんが、
やはり少なめかもしれません。数十しか居なそうな…。
稚魚にカメラを向けるときちんと隠します。(^_^;)

巣は直径15cmほどで深さは4〜5cm、
掘れるだけ掘ったという感じです。
掘られた砂利が巣の周りに盛り上がっているので
水平に観察すると稚魚は勿論、親魚もすっぽり視界から消えます。
さらに、生まれたての稚魚を私の目から隠すように稚魚を体で覆うように
オスが休んでいます。
巣は、稚魚を隠す為と、動き回る稚魚が行方不明にならない為というのもあるのかもしれませんね。

いやしかし、ようやくの成功ですよ〜、ホント。
前回のマレーシア産ドワーフ繁殖失敗からおよそ一年、
稚魚を確認したのはスリランカ産以来1年半ぶりです。
今回は繁殖の難しい部分をよく味わえたような気がします。
スリランカ、マレーシアの失敗を繰り返さないように、
両親魚の健康管理、気を付けていかなきゃな…と思います。
どちらも長く病気をしていたのでダメージは残っていそうですが。(汗)
ともかく、有難う。