マレーシア産ドワーフスネークヘッド
繁殖への道
(vol.7 ベアタンク 編)
【channa gachua “malaysia”breeding】

さて、前回は二匹の喧嘩の激しさを、
また4匹混泳の必要を報告しましたが、
その後結局、4匹混泳を再開致しました。
もう一度ペアを得るところから始めようという試みでした。
流木、水草をごちゃっと入れて激しい喧嘩を防いでいましたが
予想通りそこまで苛烈な争いはありませんでした。
元ペアのオス(大)と、メス(大)の強さが際立って
残りのオス(小)メス(小)は陰に隠れるような感じでした。

暫く様子を見ていたのですがペアリングどころか、
元ペアの調子が悪くなり特にメスの悪化が甚だしく
全ての鰭を閉じて“棒”状態になってしまいました。
この状態は非常に危険なので即、別水槽に水を取って隔離を開始。

エロモナス治療薬、メチレンブルー、薄めの塩水をブレンドし、
2週間ほどはこちらの隔離水槽も本水槽も共に餌を絶ち
水質の悪化を防ぐと共に消化器官を休ませようと考えました。

正直、隔離後数日は死ぬかも知れんなと案じるほどに具合が悪そうでしたが
何とか峠を越し、3週目くらいには鰭を開くまでになってくれました。

さて、その間の本水槽に話を移しますと3匹になった混泳水槽、 こちらも餌抜きが功を奏したのか
オス(大)の鰭の開きが良くなってきました。
ただ、餌抜きでのストレスでか3週目に入ってメス(小)の
尻鰭を根元から食いちぎってしまいました…。
こちらは以前オス(小)にやられてようやく生え揃ったところなのですが
まさかの二度目です。

3匹の関係はといえばオス(大)>オス(小)>メス(小)で、 オス(小)は身を隠し息を潜めオス(大)の
視界に入らぬように努めている様子で怪我も殆どなく、
その代わり人にもなれず餌とりは殆どしませんでした。
メス(小)は勿論、隠れてはいるのですがその積極的な性格からか
餌を平気で貰いにきてオス(大)の隙をついて上手に捕食します。
リスクは高いようで今回のような結果になってしまいましたが…。

本水槽でこんな状況になっていたので
メス(大)の回復に伴い、すぐにでも4匹に戻してこれ以上の損傷を避けようと考えました。
隔離中のメス(大)もこれ以上の餌抜きは危険ですし。
(隔離水槽ではストレスからか、餌を殆ど摂らなかったので)

4匹に戻すにあたり、
これ以降また体調を崩させることの無いよう、
水槽システムを根本から見直す必要を感じ、
結果としてベアタンクを採用する事にしました。
ベアタンクとは底床のない水槽のことですが
小型SHとはいえMAXサイズ+生餌メインですから
私が思っていた以上に水質が悪化していたのだろうと考えた為です。

また、水質の汚れに対し、水草の酸素供給能力がさほど高くないだろう
(ロゼットなど根張りするものの成長の遅い草ばかりでしかも抜かれてたりして…(^_^;))
こともふまえエアレーションをすることにしました。
底床がなくなる分、バクテリアも減ってしまいますが
適時、底の掃除をすることで以前より良い水質をキープできるかな、ということです。
また、メスの隔離で調子を戻した事を確認したので
いざという時にはまとめて薬浴という手段も使えるでしょう。
とにかく健康に育てる事が第一ですので、できることから試してみます。

ただ完全なベアタンクにしてしまうのは緑が活着水草だけになってしまって寂しいな、というのと
お守りとして少しの底床(バクテリア)を残したかった、という気持ちから
小さ目の容器(10cmくらいのガラスのキューブ)に水草を植えて残す事にしました。
ただ、小さな容器ゆえ、嫌気状態が作られ水質悪化を招くことを危惧して
底面フィルターを丁度の大きさにカット、パイプを適当に装着して
水が流れるようにし、エアレーションも底面フィルターに接続して使うことに。

またガラスの反射による色飛びを防止ために
アクリルシートを底面サイズギリギリに切り、
底に敷き、浮かび上がらないように石等で抑えました。
(参考:allabout)

本水槽の3匹を戻し、隔離中だったメス(大)も水合わせののち合流。
上の2枚はオス(大)とメス(大)の合流後、即、威嚇です。 環境の変化が一気に訪れたもので4匹ともそれまでの競争順位を
忘れて?喧嘩が勃発。
順位がつかないことには逃げる事をしないので強弱がついて
弱者がきちんと逃げるようになるまで観察していました。

本水槽の3匹はすぐに今まで通りの順位に落ち着いたものの、
やや遅れて入ったメス(大)が追いまわされています。
←左の写真がメス(大)
元々は2位だったのですが、病み上がりと空腹と
更に一匹だけ水質の変化の幅が大きかった為にか、
自分より下位だったオス(小)にまで追われてしまっています。

『ちょっと失敗だったかな』と思いつつ見守っていると
水に慣れてきたあたりから意地の盛り返しを見せて相手を退散させました。
写真は見づらいですがその2匹の噛み合い、
動画は顎を膨らませ体を揺らして威嚇しあう様子と激しく争う様子です。
暫くは争いが絶えないかもしれませんね。

ベアタンクでの色味ですが
色飛びは大分抑えられ以前よりやや明るい体色程度で済みました。
でもこのくらいの方が綺麗だな。。と思います。
尻びれにもうっすらオレンジの縁取りがあることを今更気付く…。(ーー;)
綺麗だなぁ…。

翌日、観察してみるとオス(大)がメス(大) とメス(小)に執拗に攻撃を繰り返します。
べアタンクになってからどうも相手を視認しやすいのか
しつこく突付いていたことから病み上がりのメス(大)の回復調整をすべくオス(大)の隔離に踏み切りました。
力量からメス(大)がボスになるだろうと推測してしばらくの間は養生させようと思っていたのですが
なんとオス(小)が弱ったメス(大)より優位にたち、逆転してしまったようで これまた面倒な感じです。
とはいっても隔離したボスほどの強さはないのでまだ安心ですが…。

とりあえず、食欲がまだあまり戻らないメス(大)の回復を
最優先課題として 回復次第、ボスを戻す予定です。
サイズ的に今現在のオス(小)とメス(大)が
近いサイズなので こちらがペアリングする可能性もありますが…。
まぁそれはそれで。。